PROJECT444 R[アール] 100年後の地球も大切だけど、今隣にいる人を
笑顔にさせるライフスタイルマガジン

R8号特集ページ

わくわくと心地よさがぎゅっと詰まった2DK
<Favorite books L>

モノ, 場所

最近本を買いに行ったのっていつだったか、覚えてます?
ネットで買う、電子書籍で読む、そもそも最近本読んでない…
そんなあなたにおすすめしたい、本との出会いを楽しめる書店が
浜松市浜北区にあります。

「本好きならきっと楽しいところだと思うよ」

そんな言葉を添えて紹介してもらったのが
浜松市浜北区の<Favorite books L>。
地図を頼りに細い路地を抜け、マンションの階段を上がると目印の看板を発見。

突き当りに立つポップな看板が目印。

美容院やエステならまだしも、書店がマンションの一室にあるというのは珍しい。
ドアを開ける瞬間は、はじめて友人の家を訪ねた時のようにどきどきした。
靴をスリッパに履き替えたら、「おじゃましまーす」と言いながらいざ入店。
2DKの間取りのうち、手前にある洋室と奥にある和室に本が置かれている。
まずは写真右手の洋室から。

ラックに置かれたフライヤー。手前右側の部屋と奥のスペースに本棚が。

ここにはアートに音楽、演劇関連の雑誌から純文学、詩集、囲碁の教本まで
様々なジャンルの書籍が並ぶ。
個性豊かな棚たちは、ジャンルごとに明確な線引きがされているわけではなく、ゆるやかにつながっている感じで、
普段は手に取らないような分野の本との出会いも楽しめる。
本当に良いと思える本をセレクトしているからこそ、この7帖ほどの空間がちょうどいいのかもしれない。

エッセイなどのキャッチ―なものもあれば、専門書のようながっちりしたものも。

“隠れ家的書店”というワードからマニアックで通好みな店を勝手にイメージしていたが、これはまったくの杞憂だった。
むしろ、誰かの本棚を覗き見させてもらっているような親しみやすさだ。
好きな作家の文庫が置かれていればなんとなく嬉しくなるし、
気になっていた本が置かれていればお墨付きをもらったような気持ちになる。
蔵書数は決して多くないにもかかわらず、次から次へと現れる魅力的なタイトルに吸い寄せられ
この部屋からなかなか抜け出せない。

「こじらせ女子」の名付け親・雨宮まみの著書が平積みされていた。

興奮冷めやらぬ気持ちで続いて奥の空間へ。
廊下を抜けると、左手のキッチンスペースにはCDが並んだ棚やカウンターがあり、右手にはちゃぶ台が一卓置かれた和室が広がる。
こちらには、レシピ本や日本酒大全などの食にまつわる書籍と絵本が並んでいる。

絵本に挟まれる巨大ムーミンの存在感たるや。

スリッパを脱いで座布団に腰を下ろすと、落ち着くイグサのかおりが。
はじめてきたはずなのに、どこか懐かしいここの雰囲気は
日常の喧騒から少し離れて、ゆっくり本と向き合う時間をくれる。
店内に流れる心地よいBGMや、カウンターで作業をする店主の髙林さんとの程よい距離感、そして窓の外に見える町の景色。
和室からぐるりと店内を見まわして、<Favorite books L>が本やCDを介してこの“場”を提供していることがよくわかった。
その証拠といわんばかりに、ちゃぶ台の上にはドリンクメニューが鎮座している。
休日の過ごし方に『喫茶店で読書』ならぬ『本屋でお茶』という新たな選択肢が加わった。

和室から見たカウンター周り。レジ前にはしまうま珈琲のクッキーが。

本棚のラインナップから想像するに、お子さんがヨシタケシンスケ氏の「りんごかもしれない」を読んでにやにやしているのを横目に
お母さんはレシピ本を見ながら晩御飯のことをぼんやり考える…なんていう過ごし方もアリなのではないだろうか。

自家製シロップのジンジャーエールは甘すぎず辛すぎず、さわやかなおいしさ。

ホームページの言葉を借りると、<Favorite books L>は“本と音楽の店”。
キッチン周りにあるCDのラインナップもおもしろい。
お客さんからすすめられたアーティストのCDを入れることもあるそうで、なるほどどことなく掴みどころのないセレクトも頷ける。(本やCDの取り寄せも可能)
本と同じでただ無尽蔵にそこにあるのではなく、「きっと誰かのお気に入りになる」べくしてそこにいる、といった感じだ。
新刊書店なのにどこか古本屋のような印象を受けるのはきっと、置かれている本やCDの一つひとつに誰かの想いやストーリーを感じるからだと思う。

キュウソネコカミやRADWIMPSから山下達郎、ゆらゆら帝国まで幅広い。

店主の髙林さんのお話によると、もともとは近所で<Favorite books>という名前の独立した書店を営んでいたそうだ。
そこを閉店し、一度は書店の運営を辞めていたものの、お客さんからの要望に応えて2016年の秋ごろに<Favorite books L>としてリスタート。

最近では、電子書籍やオンラインショッピングが普及し、書店に足を向けることが少なくなったという人も多い。
はたして、私たちは本を買うためだけに書店に通っていたのだろうか?
小難しいタイトルの本を手に取ってインテリを装ってみたり、
表紙に惹かれてジャケ買いをして失敗してみたり、
何の気なしに手に取った本が人生を揺るがしたり。
記憶の中の書店は、新しい出会いに満ちていた。
<Favorite books L>はそんなわくわくした気持ちを思い出させてくれる場所だ。
本が好きな人はもちろん、あたらしい何かに出会いたいあなたも、
ぜひ一度浜北にある小さな書店を訪れてみてほしい。

▽補足
駐車場は2台分。こちらの看板が目印。


~21:00まで営業しているので、仕事終わりにも立ち寄れる。
月ごとの開店日やイベントの情報は、twitterやfacebookをチェック。

写真に入りきらなかった棚には文庫本も。村上春樹とよしもとばななが充実していた。

ユリイカや文藝別冊なども。

この日の戦利品。オンラインでしか入手できなさそうで躊躇していた書籍を発見し(しかもパラ見ができた)、これも天啓じゃ~と購入。

Favorite books L

浜松市浜北区中条1490-1 ハピネスマルカ203
TEL:053-586-5004
http://www.favoritebooks.jp
営業時間:月曜日16:00~21:00/水金土日曜日13:00~21:00(火・木定休)
※営業日・時間は変更になる場合があります。
月ごとのカレンダーがtwitterおよびfacebookに掲載されていますので、詳細はそちらをご確認ください。

Saaya

この記事を書いた人

ずんだ

かっこいいものとおいしいものを広く浅く愛でる雑食ライター。特技はのび〇レベルのスピード入眠。

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